EGOISTE
細くて高いヒールのサンダルだ。白い色をしていて全体的に華奢なデザイン。
女は何でこんな靴で普通に歩けるのか謎だ。
「さっきの話マジ?」
鬼頭は俺の隣に腰掛けると、膝に頬杖をついた。
「さっきの話?」
俺は鬼頭が持ってきたビールをありがたく頂戴することにして、一口ぐいと飲んだ。
「合コン行くって。新しい彼女作るって話」
「…………」
しばらくビールの缶にじっと視線を落としていた。
「やめなよ」
鬼頭が静かに口を開く。
相変わらず静かで、感情を感じられない言葉だったけど、何故か威力があった。
「は?」
「やめなよ、って言ったの。先生不器用なんだから、千夏さんのこと簡単に忘れられるの?忘れずに付き合うのって、相手に対して失礼だよ。
それともやっぱ寂しいから誰かを求められずには居られないわけ?
明良兄みたいに」
俺はちょっと詰まった。
大体にして合コンの話なんて、あの場の流れで軽く出た言葉だ。
水月だって本気にしてないだろう。
これだから子供って……
でも
鬼頭の言葉は正しいんだ。