EGOISTE

「冗談に決まってンだろ?」


俺は無理やり笑うと、鬼頭の頭をちょっと小突いた。


鬼頭は迷惑そうに眉をしかめていたけど、ちょっと考えるようにしてまた頬杖を付いた。


「ねぇさっきのセーフだとかアウトだとか…」


「ああ、結局お前はどっちだと思うわけ?」







「完全アウト」





や、やっぱり………


こいつは潔癖だからなぁ。


聞いた俺がバカだった。




「でも…先生だって本当はアウトだと思ってるんでしょ?水月だってあの場ではああ言ってたけど、本当は分かってると思う」


「………あぁ…そうだな」


俺は缶ビールに口を付けた。


さっきまでうだるような暑さだったのに、何故か俺を取り巻く温度が下がっている気がした。


何て言うんだろう……



そう





すごく心地いい。










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