EGOISTE
俺は白い天井を見上げた。
灯りのない部屋で、その色が白に見えたのかは謎だったけど。
明るいときは白色だった。
そんな感じだ。
恋愛も同じ。
恋していても、それが恋なのか愛なのか時々分からなくなる。
愛なんて意味も分からなかったのに。
「歌南とは……俺が19の時知り合った」
うん……と鬼頭は静かに頷いた。
19なんてまだほんのガキだ。
でもあの頃の俺は、確かにあの女を愛していた。
「俺が水月のアパートに遊びに行ったら、たまたまいたんだよ」
「うん」
鬼頭がもう一度頷く。
俺、何でこんなこと鬼頭に話してるのかな。
別に美しい思い出でもないし、聞かせるほどの過去でもない。
でも何でかな。誰かに知ってほしかったんだ。
「俺の一目惚れだった。一ヶ月かけて口説き落として、一ヶ月付き合ったけど、ある日理由も言わずに―――あの女は消えた。
俺は捨てられたってわけ」