EGOISTE
明け方、それぞれが起きだしてくると、水月は歌南の待つマンションに、楠は自分の家に―――そして鬼頭も自分の実家に帰っていった。
俺はそれがまともな判断だと思える。
それ以上鬼頭に変な気を起こすとか、そうなりたいとか気は全くといっていいほど俺にはなかったけれど、気まずいものは気まずい。
鬼頭がいくら普通の女子高生とはちょっと神経が違うとは言っても、やっぱり年頃の女の子だ。
変な風に意識させてもいけない。
俺は何でもないように三人をそれぞれ見送った。
三人が帰っていくと、部屋の中はしんと静まり後に残ったのは静寂と空虚だけだった。
昨晩は……
失恋会とは言え、楽しかったな。
鬼頭があの二人を連れてきてくれたお陰だ。
おまけにあまり悩まずに済んだ。
これから……
気を入れ替えて、仕事に励もう。
忙しくしていれば気が紛れるさ。
そうやって
忘れていける。
折りしも夏休みはあと半月ほどだ。
学校が始まれば―――
いやでもまたあいつらと顔を合わせることになる。
だから大丈夫。