EGOISTE

哀しくない、なんて嘘。


寂しくない、なんて強がり。


でも俺はにこにこ笑って今日も患者を迎える。


「こんにちは。今日はどうされました?」






―――


あれから一週間経った。


毎日変わらない日々。変わらない面々。変わらない光景。変わらない会話。




だけど変化は思いも寄らないときに突然現われる。






午後の部の患者を送り出し、ナースたちが事務作業をしている傍らで俺は白衣を脱いで帰り支度をしているときだった。



白衣のポケットに入れたままのケータイが震え、俺はケータイを取り出す。


着信番号を見て、俺は顔をしかめた。


知らない番号だった。




「―――はい?」


仕事の終わりだったから疲れているのもあって、俺はちょっと不機嫌そうに電話に出た。






『―――まこ?あ・た・し』





誰―――



と聞き返すこともない。









「何でお前がこの番号知ってンだよ。






歌南―――」










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