EGOISTE
俺は……
その支配から逃れる術を知らない。まだ見つけられない。
「話はそれだけ。じゃぁな」
苛立つ気持ちを抑えながら、俺は歌南に背を向けた。
「待ってよ。その、千夏?サンのことがまだ好きって、あんた別れたんじゃないの?」
歌南のよく透る声が俺の背中に突き刺さった。
俺は顔だけを振り返って歌南を睨んだ。
「何で……知ってる?」
水月か鬼頭がこいつに話したのか?
いや、あいつらには固く口止めしておいたから……と言うか、あいつらは他人のことを誰かに気軽に話す奴らじゃない。
「ただの勘よ。この前あたしと一緒に居るところを見られたから、どうなったかなぁって思ってたのよ。
でも確信したのはたった今。
あんたの態度見てて分かったわ」
何てこった……
俺は額を押さえた。
自分で自分の首絞めてたわけか……
そしてそんな風に分かられるほど、歌南が俺のことを知っていたことにちょっと驚かされた。