EGOISTE
やばい…
やばい、やばい、ヤバイ!
アルコールで焼け付く喉。
一気に足にくる酔い。
ふらつく足取りで、俺は駅に向かおうとしたがそこまでもたなかった。
途中のコンビニでトイレを借りると、盛大に吐き戻した。
思えばショットガンで飲んだのなんて学生以来だ。
あの時は遊びや何かの罰ゲームで飲まされたのを覚えている。
その場でぶっ倒れそうになって、もう二度とテキーラを飲まないと誓ったのに…
胃の内容物を吐き出すと、ほんの僅かだがすっきりとした。
だが、胸が焼けるような吐き気と引き換えに、胃痛の方がじわりじわりと浮き上がるように痛みを発する。
コンビニでミネラルウォーターを買い、駐車場の縁石に腰掛け俺はケータイを取り出した。
ペットボトルに口を付け、受話口から聞こえる無情な呼び出し音を苛立った様子で聞き流していた。
TR…『―――はい』
「水月。今どこに居る?」
挨拶の言葉も前触れも省いて、俺はストレートに聞いた。
それぐらい切羽詰まってるんだ。
『今?ゆずとドライブ中』
「お前は姉貴ほっといて、犬とドライブかよ!」
『…機嫌悪いね…』と言いかけて、水月が電話の向こうではっとなったのが分かった。
『まさか…また姉さんがまこに何かしたの?』
「そのまさかだよ。もう、あいつ何とかしてくれ!」
『………ごめん』
俺は……
最低な男だ。
いい歳して、ダチに当たり散らすとは。
こいつには何の否もないのに。
「……悪りぃ。謝りついでにもう一こ頼まれてくれ」
『いいよ』
水月は俺の用件も聞かずにあっさりと返事をした。
全く…素直と言うのか、お人よしと言うのか……
そういうところがこいつのいいところでもあるが。
『今から言うコンビニまで迎えに来てくれね?』