EGOISTE
「な!……に」
と言葉を掻き消すかのように、俺は乱暴に水月をソファに倒しその上に乗りかかった。
油断していたのと、体格の差だろう。
水月はあっけなくソファに沈んだ。
「まこ」
その呼び方で名前を呼ぶなよ。
ズキリ!
酷い痛みを胃に感じたが、怒りの方が勝った。
急激に怒りが沸騰して、俺は無言で水月の顎を掴み、
強引に唇を重ねた。
「………!!」
何が起こったのか分からないという風に水月の動きが一瞬ぴたりと止まった。
角度を変えてもう一度深く唇を合わせると、
俺の下になった水月が今更ながら暴れた。
俺の両肩を手で押して、押しのけようとする。
唇を離すと、俺は無言で水月を見下ろした。
「………まこ?」
水月は困惑したように眉を寄せ、
「どうしちゃったの?」と弱々しく聞いてきた。
俺の肩から手を退けると、俺の頬をそっと包む。
「―――どうして泣いてるの?」
水月の問いで、俺は初めて自分が涙を流していることに気付いた。