EGOISTE
殺意なんて微塵もない。
あったら、殺人未遂で即お縄だ。
喧嘩?おふざけ?
どっちにしろ俺、最低だな。
知らず知らずの内に掌に入っていた力が作用したのか……
「ま……っ!!」
大きく見開いていた目をさらに一層広げて、
水月が一杯に広げた掌天井に向けていたが、まるでショートしたスイッチのように
ぱたりと落ちた。
人が失神する瞬間を初めてこの目で見た。
人間なんて
あまりにもあっけなく
脆いんだな。
「……水月?」
そっと問いかけるが、固く閉じた瞼は震えることもなかった。
まるで壊れたマリオネットのように腕がだらりと床に下がっている。
「おい…水月!」
首から手を退けて、水月の頬を軽く叩いたが
反応なし。
体温は…温かい。
呼吸もしっかりある。
脈も診たが、それほど乱れている様子もない。
完全落ちた―――