EGOISTE
うっすらと琥珀色の目を開け、俺と鬼頭が覗き込むと、びっくりしたように水月は目をぱちぱちさせた。
まだ完全に意識が戻っていないのだろうか。
その視線はどこかうつろだった。
「……まこ。…雅も……」
「良かった~!水月!!」
鬼頭が横たわったままの水月に抱きついた。
水月は覆いかぶさってくる鬼頭の背中を優しく撫でながら、
「…えと…僕は……」と困惑したまなざしを俺に向けてくる。
「さっきは悪かったよ。ちょっと苛々してたんだ…」
「…………うん」
水月は怒っていない様子だった。
俺はあんな酷いことしたって言うのに。
水月はそんな俺を赦すかのように、ちょっと微笑んでさえ居た。
俺はそんな顔から目を背けた。
俺は
今更ながらこいつにどんな酷いことをしたのか思い知らされた。
「俺、帰るワ」
言葉も少なめに立ち上がると、
足の先から頭のてっぺんまで突き抜けるような痛みが走った。
ズキリ!!
酷い痛みだった。
今までの痛みが非にならないぐらい。
テキーラか…それともアンモニアの臭いか……
何が、俺の胃を刺激したのが分からない。
足に力が入らない。
痛みで体温が上昇していく。
声をあげることもままならないまま、俺は腹を抱えその場に崩れた。