EGOISTE
えへへっと水月は照れ隠しだろうか、ほんの少しだけ笑った。
「ははっ……」
俺もつられて笑った。
いつの間にか……
水月は俺の手助けなしで、自分で歩むことを覚えていた。
それとも最初から俺の手なんて必要なかったのだろうか。
それでもいつもこいつは俺の手を必要としてくれていた。
振りだとしてもちょっと嬉しい。
俺のちっぽけな悩みやわだかまりを全部無言で受け止めてくれる。
助けられていたのは、支えられていたのは俺の方だったのかな。
鬼頭もいい男を捕まえたな。
それでもって、俺もいい男を親友に持った。
俺たち二人は水月に救われたんだ。
「でも、やっぱり…おもしろくないな……」
水月は急に真顔になると、すっと立ち上がった。
あ。やっぱそうなる?
だよなぁ。俺だったらやっぱ怒るもんなぁ。相手の女にじゃなく、男に。
てめぇ!何人の女の唇奪ってンだよ!!ってな具合に…
まぁ殴られるぐらいは覚悟しないとな…