EGOISTE

王手



入院二日目―――


しかし入院ってのは退屈なんだな。


点滴で抑えているとは言え、胃の痛みは完全に消えないし、当然食欲なんてない。



おかげで、コーヒーも飲んでないし、タバコも吸っていない。


俺って健康ジャン?


ってそんなことどうでもいい!!



超ひま!!!






やることもないし、俺は仲良くなかった隣のベッドのじいちゃんと将棋に励んでいた。


じいちゃんは腸閉塞で俺よりも三日ほど早く入院したらしい。


気が強い中々の頑固もので、最初俺の顔を見たときあからさまに嫌そうに顔をしかめていた。


俺はなるべく係わり合いになりたくなかったからカーテンを閉めて、眠ることを決意していたのだが、点滴を差しにきた看護師に「やり方が下手だ!」とか怒っている声で起きちまった。


カーテンの隙間からそっと窺ったら、どうやら新人ナースのようで、彼女は今にも泣き出しそうに顔を歪めていた。


見かねた俺が、手助けをしてやったってわけ。


医者だと言う俺のことをじいちゃんは最初奇異なものを見るような目つきで疑っていたが、俺が手馴れた手付きで針を差すと


じいちゃんもナースも揃って感心したように俺を見てきた。


そんないきさつがあって、俺は頑固もののじいちゃんにすっかりなつかれたってワケ。





俺は将棋盤の上に並べた駒を見て頭を抱えた。


じいちゃん、だてに歳食ってないだな。


強えぇ。










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