EGOISTE



千夏と同じ歳ぐらいの上品なOLって感じ……


って、あれ?この女…以前にも会ったことが……


俺が目を細めると、


「林先生!?」


と女の方が先に気付いた。


びっくりしたように目を開いている。


え?先生……って何で俺のこと知ってる?


「ほら。覚えてません?私以前先生に診てもらった、足立です。夏風邪をこじらせて……」


そこまで言われてやっと気付いた。


「ああ!」


足立と名乗った女は気恥ずかしそうに頭を下げた。


俺も慌ててちょっと頭を下げる。


「その後、お加減は宜しいですか?」


俺は営業用の声をあげてにっこりスマイル。声なんてじいちゃんと話すときの2トーンぐらいあげて。


女も柔らかい笑顔で答えた。


「ええ、お陰さまですっかり」





千夏と少し……笑い方が似ている。


「何だ?お前さんら、知り合いか?」


じいちゃんが不思議そうに頭を傾げた。


「林内科クリニックの若先生よ、おじいちゃん。おじいちゃんも大先生にはいつもお世話になってるでしょ?」


「何!?林内科の倅かぁ」


じいちゃんは驚いたように目をぱちぱちさせ、俺をまじまじと見た。








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