EGOISTE
「まぁ。そう言われれば似てるなぁ」
いやぁな予感がして、俺はそろりと視線を外した。
「なぁミヤコ。お前、この先生なんか婿にどうだ?」
キターーー!!
勘弁してよ、じいちゃん!!
「な、何言い出すのよ、おじいちゃん!!」
ミヤコと呼ばれたじいちゃんの孫が顔を赤らめてちょっと怒った。
だけどじいちゃんには全然通じない。
「聞けば、お前の一歳下だと言うじゃないか。年下もいいもんじゃよ?」
じいちゃんはワハハと豪快に笑って俺の肩をバンっと叩く。
いてぇ。
じいちゃん、こう見えても俺病人…
でも、そっか…若く見えるけど、俺の一こ上かぁ。カルテで生年月日まで確認しなかったからなぁ。
「ごめんなさいね。おじいちゃんの言う冗談は気になさらないで」
ミヤコ嬢は恥ずかしそうに笑って、口に手を当てた。
「いえ…。楽しいおじいさんですね」
俺は曖昧に笑って返した。
じいちゃん、頼む。これ以上余分なこと言わないでくれ!!
その願いが通じたのか、ベテランナースが一人入室すると
「足立さん。検査のお時間ですよ」と言い、嫌がるじいちゃんを無理やり引っ張っていった。
助かった!
冷や汗を拭うと、俺は取り繕ったようにミヤコ嬢を見た。