EGOISTE
ケータイのデジタル時計を見ると、もう昼近くだった。
寝すぎた。
今日の“診療”は午後からとは言え、ちょっとたるんでる気がする。
それもこれも妙な夢を見たせいだ。
昔の……20年も前の夢だ。
欠伸をしながら、のっそりと立ち上がる。
「鬼頭、お前飯食った?」
鬼頭は無言で首を横に振った。
「んじゃ、何か作るわ」
そう言ってキッチンに向かう。
冷蔵庫の中には食材がぎっしり詰まってる。
千夏と食べようと思って色々買い込んだ。
しばらく減りそうにないな。
鍋に湯を沸かしてだしをを取る。
ほうれん草を入れたら、味噌を溶かして…と。なんて考えてると、
「何?朝(っつても昼近くだけど)から味噌汁?ありえないんだけど」
鬼頭が鍋を覗き込みながら、顔をしかめた。
「はぁ?朝っつたら、味噌汁に白い飯だろ?」
「先生いつも朝は味噌汁?うわっじじくさぁ」
鬼頭は顔をしかめながら口元を覆った。