EGOISTE
「「え!?」」
俺と鬼頭の声が重なった。
いやいやいや・・・・・・
何で・・・どーしてそんな展開に!?
俺がびっくりしたように楠を見た。鬼頭も顔をしかめている。
「昨日・・・電話が掛かってきたんだ。うちに・・・」
楠はゆっくりと話し出した。
「家に!?な、何で!?」
「んー・・・明良お兄、急にバイト辞めちゃったみたいで、ケータイにも繋がらないし、心配になってかけてきたみたい」
「へぇ・・・それは、それは・・・・・・」
相当入れ込まれてるな。楠 明良も・・・
気の利いた言葉を返してやれなくて、俺は楠からちょっと視線を外した。
ちらりと鬼頭の表情を盗み見る。眉間に寄せた皺がより一層深く刻まれていた。
瞳の奥に険悪な光が宿っていた。
「で?」
空気をも震えさすような、冷たい問いかけだった。
こ、怖えぇ。
「電話を取ったのはあたしで、明良お兄は元気ですって伝えたら、何か彼女づらしてぺらぺら喋ってきたから・・・」
「喋ってきたから・・・?」
その後を聞くのが怖い気がした。
「だから明良の彼女はあたしです。って言ってやった」