EGOISTE



「「え!?」」


俺と鬼頭の声が重なった。


いやいやいや・・・・・・


何で・・・どーしてそんな展開に!?


俺がびっくりしたように楠を見た。鬼頭も顔をしかめている。


「昨日・・・電話が掛かってきたんだ。うちに・・・」


楠はゆっくりと話し出した。


「家に!?な、何で!?」


「んー・・・明良お兄、急にバイト辞めちゃったみたいで、ケータイにも繋がらないし、心配になってかけてきたみたい」


「へぇ・・・それは、それは・・・・・・」


相当入れ込まれてるな。楠 明良も・・・


気の利いた言葉を返してやれなくて、俺は楠からちょっと視線を外した。


ちらりと鬼頭の表情を盗み見る。眉間に寄せた皺がより一層深く刻まれていた。


瞳の奥に険悪な光が宿っていた。


「で?」


空気をも震えさすような、冷たい問いかけだった。


こ、怖えぇ。


「電話を取ったのはあたしで、明良お兄は元気ですって伝えたら、何か彼女づらしてぺらぺら喋ってきたから・・・」


「喋ってきたから・・・?」


その後を聞くのが怖い気がした。





「だから明良の彼女はあたしです。って言ってやった」










< 245 / 355 >

この作品をシェア

pagetop