EGOISTE
まだ見ぬ未来へ

郷愁





“あなたまで”ってどういう意味……?


何で震えて……


薄れ行く意識の中、それははっきりと分かった。





歌南―――何で…




なんで泣いているんだ―――……




そう問いかけたかったけれど、俺の口はやっぱり開くことがなかった。


それどころか、夢を見ている意識も危うい。


待って!もう少し。もう少しだけこの先を……


その願いも虚しくまるでテレビの電源を切るかのように、プツンと突然意識が途切れた。




――――

……


「…起きないね。今日はもう帰ろっか」


遠くで鬼頭の声がする。水月の声も。


「そうだね。気持ち良さそうに寝てるし。まこ、また来るね~」


そう言って俺を覗き込む気配があって、俺は今度こそぱっと目を開けた。


「ぅわ!」


水月が飛びのきそうになって驚く。


「………んだよ。その“ぅわ”ってのは……」


ベッドに横たわったまま、瞬きをすると俺は寝起きのかすれた声で水月に問いかけた。


「ごめん、ごめん。急に目を開けるから」


「ちょっとホラーだよ」と鬼頭。


やけに現実めいている。


けど…


「うっせぇ」鬼頭を軽く睨んだけど、これが現実の鬼頭かどうか判断しかねた。







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