EGOISTE
ただごとじゃない何かが歌南に起こってる。
そう思った。
俺も同じように顔色を変えて、ベッドから降りた。
「水月……歌南は……?」
「いや、連絡はつかなかった」
「じゃ、何で…」
お前…普通じゃない。その言葉は飲み込まれた。
「姉さんに連絡つかないから、実家の方には何か連絡行ってるかもと思って連絡したんだ、実家に。
そしたら……向こうも姉さんと連絡がつかないって、慌てて…」
水月は気弱そうに言葉を紡ぐと、俺の両腕を握ってきた。
言葉とは反対に、その力は強いものだった。
「………まこ」
今にも泣き出しそうに水月は眉を寄せていた。
掛けるべく言葉も見つからず、俺は水月の次の言葉を待った。
数秒の沈黙が病室に流れ、押しつぶされそうな重圧のなかやがて水月は静かに口を開いた。
「僕は知らなかった。
姉さんの旦那さんは二ヶ月前に
亡くなってるらしいんだ」