EGOISTE


――――

……


俺は買ったばかりのロードマップをその場で広げた。


「どうしたの?」


タバコを吸い終えてた水月が何事か、こっちに走ってくる。


俺は現在地を指差して、南に下ったところを指でなぞった。


「この先に海岸がある。それほど大きな海岸じゃないけど、一度歌南と行ったことがあるんだ」


「ホント!?」水月が勢い込む。


「ああ、間違いない」


千夏と鬼頭がコンビニから出てきた。手にビニール袋を提げている。


「歌南の行きそうな海、分かったぞ」


俺が二人に言うと、二人とも驚いたように目を開けた。さっきと同じように地図を指し示すと、


「でもホントにここに歌南さんが居るの?居たとしても今はホテルかどこかじゃない?」と鬼頭。


それは分かってる…


たぶんこの場に居る誰もが。


でも行くしかないんだ!







「行きましょう。誠人を信じるのよ」








一番最初に動き出したのは、千夏だった。







< 297 / 355 >

この作品をシェア

pagetop