EGOISTE
意外だった。鬼頭は嫌々水月の託(コトヅケ)を守ってるかと思ってたから。
そしてもっと意外なのは、俺も鬼頭と同じ気持ちで居ることだった。
「夏休みが明けたら、先生とその他大勢の生徒の関係に戻っちゃうね」
鬼頭は寂しそうに笑った。
「何だ?もしかしてお前、俺に惚れた?」
わざと冗談っぽく言ってやった。
そんなことありえないって分かりきっているのに。
「ばーか」鬼頭はちょっと笑って、足元の砂をほんの少し蹴り上げた。
ぱらぱらと砂の粒子が宙に舞う。
俺はちょっと笑った。
俺が鬼頭に抱く気持ち。鬼頭が俺に抱く気持ち。
それはきっと同じものだ。
でも決して恋なんかじゃない。
でも俺達は校医と生徒という関係以上の感情を抱いている。
愛おしいとか、好きとか、そんな感情じゃない。
そんな一言でくくれる感情じゃない。
ただ
ただ大切なものを共有した。
こうゆうのを何て言うのかな…………