EGOISTE
国士無双
夏休みが明け、俺は高校の校医へと戻って三ヶ月。
鬼頭は時々保健室へ訪れてはだべっていく。時折楠を連れてくることもある。
そうそう、楠と言えば。
楠 明良は実家を出て、独り暮らしをしているようだ。
お互いの距離感が必要だと思ったらしく、その考えはいい方へ向かっている。
バイトも変え、もちろん浮気相手とも切れた今ラブラブだとか。
水月と鬼頭も変わらず仲良しで、半同棲のような感じでいる。
俺の方も千夏との結婚を真剣に考え始めていたので、彼女の実家に挨拶に行き、思った以上に反応の良かった両親とも、特にいざこざがなく普通に溶け込むことができた。
ただ、難と言っちゃ難だが、同居している彼女の兄の嫁さんが、俺のことをタイプとか何とか言ってやたらとちょっかいかけてくるのが困った。
これには家族もいい顔をせず、もちろん千夏本人も嫌がったのでそれ以来あまりお邪魔していない。
余計なトラブルはごめんだ。
平和で平穏な日常が続く中。
夏の終わりを遂げる9月半ば、俺はある決意をしていた。
―――その日、9月12日は千夏の誕生日だった。