EGOISTE
「結婚しよう……いや、してください?俺の味噌汁を一生つくってくれ。……は何か古臭いな。
墓場まで一緒に…ってストーカーチックだしなぁ」
なんてプロポーズの言葉をぶつぶつ考えていると、インターホンが鳴った。
俺は指輪の箱をポケットに押し込むと、慌てて玄関に走っていった。
「……遅くなってごめんなさい」
千夏は俯き加減に謝った。
「…いや?別に遅れてないけど?」
気のせいかな……千夏、ちょっといつもと違う。
どことなく顔色が冴えないし。
も、もしかしてっ!!
ま、まさかの別れ話!!?
ドキドキと不安に胸を揺らしていると、千夏は靴を脱いで上がってきた。
テーブルの上に並べられた食事を見て、「凄いわね」と感嘆の息を漏らす。
「誕生日だから、がんばってみた。腹減ってるだろ?まずは食事か…」
「ええ」
千夏は大人しくテーブルについた。
最初の一杯目はビールだと思って、用意していた缶ビールのプルトップを開け、千夏のグラスに注ぎいれようとすると、千夏はそれをやんわりと遮った。
いつもなら喜んで飲むくせに。
「誠人、話があるの……」
言い辛そうに、俯いた千夏の睫がゆらゆらと揺れている。
嫌な予感に圧迫されて―――俺の心臓がドキンドキンと音を立てる。
「実はね―――」