EGOISTE


めんどくさい、って思うどころか嬉しいに決まってンだろ!!


そう怒りたい気分だったけど、俺の怒りはすぐに消沈した。


千夏に見つめられると、俺は何も言えなくなる。


その可愛い仕草に、俺はとことん弱い。


結婚後もそれは変わらないだろうし、今から力関係が出来上がってるわけだ。





『案外こっちの方が早かったりして』


意味深に言った歌南の言葉が蘇る。



あいつは予見者か。



「なぁに、思い出し笑い?スケベね」


千夏がくすくす笑って、俺を軽く小突いた。


それ、前にも言われました。


確か…高田さんに―――


「何とでも言ってくれ。俺は今幸せで頬が緩みっぱなしだ」


「じゃぁその頬を張り倒してもらいましょうか。わたしのお父さんに♪」


にっこり笑った千夏を見て



俺の顔からサーーーっと血の気が失せたのは



言うまでもない。







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