EGOISTE


「可愛いって。自信持てよ」


俺が言うと、千夏は恥ずかしそうに俯いた。


「誠人が言うのなら…」


千夏が何かを考えるように目をぱちぱちさせると、「誠人」とくいくいと手招きした。


「何…」


と言いかけた俺は、彼女にぐいと引っ張られた。


ふいうちに千夏に抱き寄せられ、キスされる。


びっくりして目を丸めていると、





「誠人。




大好きよ」






そう言って照れくさそうに笑った。


俺はキョロキョロと辺りを見渡し、カーテンの内側に入るとウエディングドレス姿の千夏を抱きしめた。


「ちょっと早いけど」


断りを入れ、俺は千夏の唇にキスを落とした。






「誓いのキスだ―――」










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