EGOISTE
どれぐらいそうやって見詰め合って……いや、にらみ合っていただろう。
ふいに
ピンポーン、とインターホンが鳴った。
俺が腰を上げようとすると、歌南は俺の腕を掴んで椅子に戻した。
「出ないで」
「んなこと言ったって、客だろ?」
ピンポーン
来訪者は気忙しい性格らしい。せっかちに2回、3回と鳴らす。
「いい加減にしろよ!」
俺は歌南の腕を乱暴に払うと、席を立ち上がった。
「待っててば!」
歌南にしては、めずらしく余裕がない表情だった。
何だよ、どうしたんだよ、お前。
そう口に出そうだったけど、言葉は喉から出てこなかった。
ガチャッ!
扉が開く音がして、
「まこ?いるの~?」と声がした。
なんだ、水月か。
助かった。
俺はほっと胸を撫で下ろした。