EGOISTE

「姉さん、起きたらいないからまさかと思ったけど、やっぱりここだったね」


水月は歌南と俺を素早く見ると、歌南の腕をとった。


「まこ、ごめん。姉さんもほら、帰るよ。迷惑だろ?」


「嫌よ」


歌南はつんと顔を逸らすと、ふてくされながら言った。


「嫌、じゃねぇんだよ。俺はこれから仕事なの」


「ほら、我儘言わないで」


小さな子供をあやすように、水月は歌南を立たせた。








「本当にごめん。迷惑かけたね」


水月は俺の部屋を出て行くときも律儀に頭を下げた。


「いんや。いいよ。あいつの我儘には慣れてる」


なんて言ったけど、いつも振り回されて正直疲れる。


ホント……


変わってないんだから。



歌南は何やらまだぶつぶつと小言を言っていたが水月に引っ張られるようにして帰っていった。




俺は、というと大きなため息を吐いて、



出かける支度に取り掛かった。






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