EGOISTE

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「先生、失礼しま~す。午後もよろしくお願いしま~す」


午前の診療が終わって、ナースたちがぞろぞろと帰っていく。


俺はにっこり笑顔を浮かべて軽く手を振った。


「あ~♪やっぱいいわぁ。若センセ♪」


「ね。若いし、背高いし、スタイルいいし、かっこいいし」


「彼女いるかなぁ」


賑やかな噂話を振りまきながら帰っていく。




……冗談じゃない…



同じ院内のナースに手を出せるかぁ。


それこそドロドロの底なし沼にはまっちまう。





なんて考えていたら、受付に置いてあるガラスの花瓶に目がいった。


背の高い変わったデザインの花瓶に、薔薇の花が飾ってある。







黄色い薔薇だった。





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