EGOISTE
ブラックコーヒー
時間は昼の14時。
ちょうど昼休みを終えたサラリーマンやらOLたちが各々会社に戻っていく時間帯だ。
クリニックの近くの喫茶店は客がまばらで閑散としていた。
俺は窓際の席で高田さんと向かいあって座る。
「ここのランチおいしいんですよ」
高田さんがにこにこして、おしぼりで手を拭いた。
きれいな白い指だ。
長さといい、形といい、千夏のそれによく似ている。
「じゃ、ランチで」
「わたしも同じのを」
アルバイトだろう、若い女の子がオーダーを聞くと、「ランチ2」と大声を張り上げた。
鬼頭のちょい上だろうか、若い女らしい張りのある元気な声だ。
それが妙に清々しい。
鬼頭にはない、爽やかさだな。
あいつは、16だってのにいつもけだるそうにしてるからな。
「思い出し笑い?先生ってスケベですね」
「ス、スケベ!?」
声がひっくり返ってしまった。
って言うか、俺今思い出し笑いしてたの?
うわー、恥ずかしい!!!