EGOISTE
「千夏さんには黙っててあげるから連れてって」
「連れてって☆」
二人が体を寄せ合い、同じ表情をしてにやりと笑った。
……そう言えば、鬼頭は俺を強請るのがオハコだったな。
今更ながら思い出す。
くっそぅ。
千夏と不仲じゃなけりゃ、堂々としていられるのに。
俺はガクリとうなだれた。
鬼頭たち二人組みはちゃっかりお茶代をせしめていった。
何やら楽しそうにおしゃべりする鬼頭たちを残して、俺たちは席を立った。
会計を済ませると(もちろん俺持ちね、誘ったの俺だし)、
高田さんが申し訳なさそうに振り返った。
「ごめんなさい。わたしのせいで何か誤解させることしちゃって」
「いや。高田さんのせいじゃないです。全部俺が悪いんです」
そう、いつだって俺が悪い。
俺はいつも女の扱いに、不器用なんだ。