EGOISTE

ログアウト





――――


ログアウト


意味はコンピューターネットワークの接続を切ること。



……インターネットみたいに、俺と歌南の間もきれいに切れたらいいのにな。


なんてクダラナイことを考えながら、俺はマンションに着いた。


部屋の前で鬼頭が体育座りをして俺を待っていた。





ここにも一人いた。


ログアウトしたい女が。





鬼頭は俺を見上げると、無表情に


「遅い」


とこぼした。


「仕事だからしゃぁねーだろ」


無愛想にぶすりと言って、俺は鍵を差し込んだ。


「てか、お前こんなところで一人待ってんなよ。また変な奴に連れてかれそうになるぞ」


前に一度強引なナンパ野郎に連れて行かれそうになっていた鬼頭を助けたのは俺だ。


パタン



扉を閉じて、俺は振り返った。


「お前、無防備すぎ。もっと自覚もったら?」


「……うん」


鬼頭は面倒くさそうに頷くと、俺の横をさっさと通り抜けた。



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