EGOISTE
「……い、先生」
聞き慣れた声がして、揺り起こされた。
「…なんだよ……、今日は休みなんだ。ゆっくり寝かせてくれ…」
半目を開けると、鬼頭の相変わらず無表情な顔がぼやけて見えた。
「約束したでしょ。水族館行くって」
「……約束したけど…俺一人でお前らのお守り…?……無理」
俺はそう言って布団を顔まで持ち上げた。
無理……
無理、無理
悪魔二匹は俺の手に負えん。
「って言うと思って強力な助っ人を頼んでおいたよ。じゃ~ん♪」
鬼頭にしちゃめずらしく明るい声……
なんてぼんやり考えてると、
「まこ」
聞き慣れた声がして、俺はがばっと起き上がった。