EGOISTE
アロワナ
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「キャ~ペンギン!かわいいっ」楠がはしゃいで、走っていく。
「ホントだ」鬼頭もそれに続いた。
水族館に入ってすぐの大きな部屋はペンギンの水槽になっていた。
落ち着いたグレーのカーペット、天井と壁は白で統一されていて、吹き抜けの水槽から日光の日差しが差し込み、淡いブルーの光を落としていた。
夏休みの水族館は―――
予想した通りの人の多さだ。
家族連れの者、連れ同士で来てる奴、でも一番多いのは―――カップルだった。
くっそぅ。俺だってどうせなら千夏と来たかった。
そう言えばあいつ盆休みはどうするんだろ?
実家暮らしだから田舎に帰省することもないし、友達と旅行でも行くのかな。
旅行……千夏と行きてぇな。
そんなことを思いながらぼんやりとペンギンを見てると、
「先生、ぼ~っとしてると、置いてくよ」
と鬼頭が振り返った。
気づくと水月を含む三人はもう順路の向こうへと足を向けている。
あ~、はいはい。
今はお守りに集中しなきゃな。