EGOISTE

「神代先生って何かさっき見たペンギンに似てるよね」


出来立てのシーフードグラタンをふぅふぅ冷ましながら、楠が笑った。


「あぁ、分かる。でもペンギンって言うよりラッコじゃない?」


と鬼頭。


「え~ペンギン?ラッコ?」


水月は苦笑してるもののちょっと不服顔だ。


「何でそう思うんだ?」


俺は何気なく聞いた。


「目がくりっとしてて可愛いの」と楠。


「ふわふわしてて、一生懸命くるくる回ってる姿がそっくり」


俺は鬼頭の言葉に納得がいった。


「あぁ、そんな感じ」


「まこまで。何だよ、もっとかっこいいのに例えてよね。女の子に可愛いって言われても嬉しくないよ」


水月はウーロン茶を飲みながら本格的にふくれた。


こいつはこいつでそれがコンプレックスなんだろうな。


昔から女みてぇなところはあったけど。


「楠はシャチだよな」


俺はさりげなく話題を変えた。


「え?シャチ?可愛いってこと?」


楠がにぱっと笑う。


「見た目はな。でもあいつは実のところかなり獰猛なんだぜ」


「ちょっとー!」


楠はフォークを握って俺を睨み上げた。


「先生はワニだよ。見た目も中身も獰猛」


鬼頭が俺の向かい側でさらりと言った。



な、なんだとぅ。



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