EGOISTE
嫉妬
水月がタバコに火をつけるのを見て、俺も何となくそれにならった。
食事の後の一服が一番旨い。
ここが喫煙OKで良かったぜ。
「まこ、タバコ変えたんだ~」
俺がテーブルに置いたクールの箱を見て、水月が何気なく言った。
「……ん?ああ」
「僕と一緒だね。どうしたのさ」
「コンビニにいつものが無かったから」
ベタな言い訳だ。
歌南と同じ銘柄なのがいやだったから、なん言えやしねぇ。
引きずってるって思われたくない。
「男の人ってさ、タバコ変えるとき何かあるよね?」
意味深に楠が言った。
オレンジジュースのグラスを両手に包んで、どこか遠い目をしている。
「何にもねぇよ」
俺はちょっと苛立って口を曲げた。
大人気ない、と思ってケド。
煙を吐き出して、前を見ると鬼頭がじっとこちらを見据えていた。
いつもの無表情……じゃない。
なんか睨んでるみたいだ。
「何だよ」
俺は鬼頭の視線にお返しとばかり睨み返した。
すると鬼頭の白い手が伸びてきて、何を思ったのか
俺のタバコのケースを手ではたいた。