Love Song~to The SKY~



 すごく、すごく楽しかった・・・。


 けれど・・・。



 人通りの少ない路地裏に入り、あたしは歩む足をとめた。


「・・・村井さん」


 あたしは、涙が出そうで震える声で村井さんの名を呼んだ。

 両手でワンピースをつかみ、うつむいたあたしを見て、普通じゃないことを感じ取ったのか、村井さんは、少しひざを曲げてかがんで、「どうした?」と聞いてきた。


 その声が、優しくて、優しすぎて・・・。

 あふれだす想いを・・・涙を止められない。


「和泉さん・・・?」


 困らせると・・・わかっていても。

 あたしは村井さんの胸に恐る恐る抱きついた。


 村井さんは拒みも、抱き返しもしない。


 あたしは、絞り出すような声で、言った。


< 224 / 335 >

この作品をシェア

pagetop