ありがとう…


《ドンドン!》


ん?


何の音だろう?


《ドンドン!》


「……きっ」


誰かの声がする


「…つきっ」



「なつきっ!!」


やっと声がはっきり聞こえて夢の世界から抜けた


私、寝ちゃったんだ…


「なつきっ!!」


部屋の外では、要がまだドアを叩きながら私の名前を呼んでいる


「なつきっ!いるならここ開けろ!」


まだ夢見心地でドアへ向かい、ドアノブに手をかける


《ガチャ》


ドアを開と、要が立っていた


「よかったー」


その言葉と共に、要は地面にへたれこむ


「かなめ…?」


「あ、いやさ、返事ないから死んじゃったかと思ったよ」


要は立ち上がり、部屋に入ってきた


「最近、めしもろくに食ってないから、大丈夫かなと思ってさ」


「あ、ああ…」


「みんなも何回も見舞いに来たんだぜ」


「あ、そうなの?」


要が心配そうな顔で、私の顔を覗く


「大丈夫?」


「…うん…」


要の顔を直視できず、俯いた


「…ま、これからめし作るから、しばらくしたら下に来て」


「あ、うん…」


はっきり言って、何も食べなくなかった


でも、要の心配そうな顔を見ていると、そんなことは言えなかった






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