恋色オレンジ*2*〜ずっと青春〜
友達だからーNao
『本当すいません、はい…はい。はい、分かりました、失礼いたします』
久しぶりに、俺は今ウソをついた。
昨夜から高熱が出て動けない、とか言ったりして。
今日は午前中から撮影のアシスタントの仕事が入っていたけど、メインカメラマンにそう連絡を入れた俺は、電話を切って携帯をポケットに入れるとバイクにまたがってエンジンをかける。
『ごめんね、ナオ』
『おー、大丈夫。今日は他のアシスタントもいたから』
目の前にはマナがいて。
申し訳なさそうな顔で俺を見ていた。
『バーカ、そんな顔すんなっつーの!』
そっと手を伸ばして、頭をポンポンと優しく撫でた。
『じゃあ、お願いね』
『おー、マナも頼んだぞ。また電話する』
『うんっ』
走り出した俺は、手を振るマナをミラー越しに見ながら、速度をあげる。
アシスタントのバイトを始めて、初のサボリだ。
結構マジメにやっていたから、ウソをついて休ませてもらうことにはちょっと躊躇ったけど、今日は仕方ない。
それよりも大事だと思えることが、今の俺にはあるからだ。