恋色オレンジ*2*〜ずっと青春〜



朝の河川敷は、まだとても静かだった。


それでも太陽は朝っぱらからカンカンと照りつけていて。

たくましく伸びる緑色の草たちは、夏空の下を気持ちよさそうにゆらゆらと揺れていた。



懐かしい場所。

あの頃の思い出がぎゅっと詰まった場所。


大好きだった景色を眺めながら、急いで漕いでいた自転車にキキーッとブレーキをかけた。



あっーーーいた。



座りこんでいるミチの姿を見つけた途端、何だかホッとして力が抜けていく。



ペダルに足を乗せ、ゆっくりと、そーっと自転車を漕ぎながら近付いた。

そしてもうすぐそこだという時。



「えっ、マナ?」



近付いてきた私に気付いたミチが、目をまん丸にして立ち上がった。


ずいぶん泣き腫らした目。

相当泣いたな…これは。

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