恋色オレンジ*2*〜ずっと青春〜
朝、ナオがうちから仕事に向かおうとしていた時、翔から電話があった。
一通りの話は軽く聞いた。
「河川敷にミチがいるから、行ってあげてくれないか?」
そして翔に頼まれた私は、慌てて家を出て。
一緒にいたナオは、翔のところへ行った。
「翔に頼まれて来てくれたんだよね?」
隣にいるミチが、前を向いたまま私に聞いているのが視界の端に映る。
「本当ごめんね、こんな朝早くに…本当にごめん」
消えちゃいそうなくらいの、か細い声に私も前を向いたまま答えた。
「そこ、謝るとこじゃないから」
「ーーーー」
「私、ミチの親友だし」
「…うん…」
「でもこういう時、正直どうしていいかよく分からない」
「…んっ…」
「でも、こういう時にはそばにいてあげたいと思う。二年前ぐらいだっけ?ミチもいてくれたじゃん?私の隣に」
「えっ?」
「ナオにフラれた時。泣いてる私の隣に、ミチいてくれたじゃん」
思い出って、すごく不思議。
悲しかったことや苛立ちなんかは時が経てば忘れてしまうのに。
楽しかったことや嬉しかった瞬間は、鮮明に記憶に残ってる。