20-16
─すきな人には
彼女がいました─
それを知ったのは
すきになってから
ずいぶんあとの話し
知ったからって
とめられなかったのです
諦めようかなって
一人で考えても
顔見た瞬間、また
『すき』が増えて
だめだったんです
諦めるなんて
できません
フラれることなど
重々承知
それでも想いはとまらない
さぁ行け、あたし
今日も5時からバイトの時間だ
あなたに会いに、ゆくのです
まだまだ緊張しまくりだけど
あなたの笑顔が
あたしの笑顔の源だから
今日も優しく笑いかけて。
今日も明るく話しかけて。
『今日もいっぱい笑いたいな』
『今日もいっぱい話したいな』
そんなことを思いながら
あたしは玄関を開けた。
「今日も会えたら……
いいなぁ」
──────fin