クロス・マインド
下に降りて食堂へと向かう。
夕食の時間帯…
丁度、賑わい始めていた。


ここは、旦那が宿をして
奥さんが食堂を切り盛り
してるんだって。

宿に泊まる客は勿論、
食事だけしに来る人も多く
評判の店らしい。



ホント…いいとこ泊まれたなぁ。



染々してると奥さんが
やって来た。
ぽっちゃりとした
肝っ玉の座った

『ザ・かあちゃん』

ってな感じの人だ。

「あらあら…昨日の…
Bランチ、十人前
食べた子じゃない。」

元からだろう。
大きな声の奥さん。
『十人前』という言葉に
周囲の視線が集まる。





痛い…痛いんですけど…



思わず苦笑する。

「おばちゃんのご飯、
ちょー美味しいから…」

作り笑いで言うが
これは本当の事。
評判通りの美味しさだった。
気を良くしたのが
見た目ですぐわかった。


「あら…ありがとう。
今日はどうする?」

「何か…軽めの物と飲み物を。」

「そんなんでいいの?
どこか具合でも悪いんじゃ…」

心配そうに背中をさすってくれた。





いや…いつもあんなに
食う訳じゃ…
仮にも女の子ですぜ?

「すぐ、出掛けるから。」
大丈夫と笑って見せると
奥さんも納得した様で
準備をしに奥へと行った。




何か…もう疲れたんですけど…。





席に着くと溜め息が出た。
「はぅ…」

気を取り直し
新しく手に入れた地図を
テーブルに開く。
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