クロス・マインド
「それより…
よくわかったわね。」

「当たり前です。
このくらい見透かせないと
補佐なんか務まりませんよ。
貴方の行動は
これで全てわかります。」

ジェフはローブの袖から
透明な球を取り出す。

小さな声で呪文を唱えると
球には今の部屋を
上から見た状態が映し出された。

これで街での様子も
見られていたのだろう…

「私の事…
そんなに好きでいてくれるのは
嬉しいけど…
それ、ストーカーって言うのよ?」

ニッコリ冗談を言ってみたけど
無視された。





酷いわ!?





両手で顔を覆って
泣き真似をする。

「彼女は…?」

これも無視!?
……もう、いいわ。
本当に泣きそう。

「ペリドットちゃんの事?
見てたんじゃないの?」

「見てはいましたが
話までは聞いてません。
これ、結構高度な術なんですよ。」

ジェフは一息ついて球をしまう。

「街に出ては
人々を観察していたのは
知っていますが、
あんなに親しくするなんて
珍しいじゃないですか…
酒場以外で…
しかも、女性のお方と。」









な、何よ…その痛い視線!?
それに、最後のは
余計じゃないかしら!?

「波長が合う…っていうの?
何か気になる子だったのよ。
ほら…私、人を見る目は
あるじゃない?」

「…………………………」

ええ、無言ですか!?

無いの?有るって言ってよ〜。

思わず机に倒れこむ。
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