クロス・マインド
辺りの空気が一瞬止まった。

マラカイトの人混みを掻き分け、
黒髪の小さな女の子が出てきた。
……小さいは大袈裟か。

随分、活発的な子にみえるけど…
アンバーの人かな?
だったら、オレの目に
止まらないはずは…

「あのさ…
さっきから聞いていれば
機械のせいでどうのこうのって
違うくない?
戦争だって…
種族を滅ぼさせたのだって…
人がやった事だろ?」

これだけの人の前で
キッパリ言いとげた。
根性ある娘だな。
声が出ず、
オレも圧倒された一人だった。

「何をぬかせ、アンバーの小娘が。
魔法の理念を貫けば、
自然の理を忘れなければ
こんなことには…」

「バッカじゃない!!
ってか、小娘じゃないし。
しかもアンバーの住人でもないし!」

「何…部外者か。
何も解らず茶々を入れやがって。
正義の見方のつもりかね?」

「あぁぁぁ、もう…
あったまきた!!
魔法が正しいと?
魔法だってあれだけ
戦争で活躍したじゃない。
どれだけの人が傷ついたと思ってんの?
魔法の理念だろうが
自然の何とかだろうが…
要は使う人の問題でしょ?
それに…住んでる場所で言うなら
オレは部外者だろうね。
けど、戦争の部外者なんて
何処に行ったって
誰一人いないよ。」

物凄い迫力。
女の子が言い終わると
肩で呼吸をしてる。
泣きそうだけど…
切なく真剣な顔だ。
< 52 / 105 >

この作品をシェア

pagetop