クロス・マインド

「行こう、行こう。」

まだ笑ってるキールに
肩を抱かれながら
酒場の中に連れられていく。




中は上機嫌に酒を飲んで
騒いでいる人で
埋め尽くされていた。

「ごめんね…
今日はとんだ先客がいたよ。
みんな、はしゃぎすぎててさ。」

奥の方へ連れていかれる。沢山の客がキールの事を
知っている様で、
代わる代わる挨拶をしてきた。
窓辺のテーブルで立ち止まると、
一人の男が座っていた。
煙草をくわえ窓を見ていたが
こっちに気がつき…

「遅かったね…
ロビンはどうしたの？」

「あいつなら、殺られた。」

「……あぁ。
そう言えばチルクの事
忘れていたね。」

キールの言葉で事情が解った様で
笑いながら煙草を消した。
「こんばんは。お嬢さん？」

「お…お嬢さん！？」

言われなれない言葉に戸惑う。
顔を赤くすると二人共
笑っていた。

「うちのキールが
お世話になったそうだね。
僕からもお礼を言わせて。」

「えっ？…あぁ…
いや…オレは別に何も…」
「とにかく、
そこじゃなんだから座ってよ。」

隣の椅子を引いてくれたので
取り合えず座ることにした。



今日は何だか流されっぱなしだな…



「こいつはユーリ。
こいつのお陰で
今日は騒がしいんだ。
ごめんね。」

「それは酷いんじゃない？
久々に顔出したのに。
これでも僕…
結構忙しいんだからね。」
「それは、悪うございました。」

「でも…
こんな可愛らしい娘がくるなら
もうちょっと密に来れば良かったかな？」

ユーリは片目を瞑って
悪戯な笑みを見せた。