クロス・マインド
「私の傷を治してくれたのは
貴女ですよね?」

「そうだよ。」

「その貴女が何故、怪我を?」

「オレが…怪我?
あぁ、気にしないで。
何でもないから。」

自分に目を向けると
結構な傷を負っていた。
それだけ術を使ったと
言うことだが…
心配させるといけないから
何とか起き上がった。

「動けるなら…帰った方がいい。
ちゃんと手当てを受けて。あくまで、応急処置だから…」

狼の頭を撫でてやる。

「しかし、貴女が…」

「オレは大丈夫だから。
オレの頑張りを
無駄にしないためにも…ね?」

にっこり笑って見せた。

「お名前をお伺いしても?」

「オレ?ペリドット。」

「ペリドット…私の名は
コロナ・ニース。
この恩…
必ずお返しにあがります。」

そう言って
コロナは森の中へと消えていった。










「良かった…でも…」



さすがに堪えた。
こうなるから術を使うのを
避けている。





真面目に使ったのは
何年ぶりだろう…

「見てたら…怒るだろうな…」

取り合えず
人気が増えないうちに
宿に戻ることにした。
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