！戦いで人は成長する！

挑発を真に受けてしまう自分が嫌いだった。
相手はその言葉に腹を立てたのか負けを認めたのかは定かではないが、試合開始の合図がないのにいきなりつかみ掛かってきた。

審判が横から入って止めようとするのだが、相手は身長が１８０以上あり体重も１００キロを超えている。
それは一目見たらすぐに分かるほどデカかった。

相手は片手で僕の頚動脈(けいどうみゃく)を締めてきた。
喉に強力な洗濯バサミが付いている感覚に陥り、意識が遠くなった。
その時、
『だらしねぇ。ヤル気あんのか！信じてたんやけどなぁ～。』
頭の中で声がした。
k君だ！
僕はとっさに、
『k君、見守ってくれてるんか？』
と、聞くと、
『バーカ。』
『えっ？』
『バーカ！バーカ…。』
k君の言葉は途切れる事なく続いた。
しつこいのを通り越し、短気だった僕は次第に腹が立ってきた。

パッと目を開けると、相手のビックリした表情が見えた。
まだクビに違和感がある。
左手を強く握り締め、相手の肋骨(あばらぼね)に拳を当てた。