!戦いで人は成長する!
小柄な猪を見送り、再び崖沿いを歩いて飛び移れそうな木を探した。
いつの間にか日は沈み、辺りは闇で覆われていた。
月明りだけを頼りに道なき道を歩き続けた。
4時間以上経っただろうか、ようやく崖に近い大木を発見した。

『立派やなぁ~。』
今の状況を忘れ、大木を見上げた。
月明りに照らされた大木は自然の美しさを物語っている上、かなり神秘的だった。
昼間はただの大木が夜になると見た者を虜にしてしまうほど美しく輝く…。
『人も木も見方を変えると別のモノになるんやなぁ~。考え方一つで人間も変われるっちゅうこっちゃな!』
しみじみと木に話しかけていると、背後で遠くから枯れ葉の上を駈けてくる音がした。

音の大きさから推測(すいそく)すると、複数で人間ではない。
やっと危機感を感じ、目の前の大木を素早く駈け登った。
僕は木の上で息を殺しながら下の様子を伺っていると、5匹の野犬の群れが僕の居た場所周辺を嗅ぎまわっていた。
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