！戦いで人は成長する！

そんな時に限って突っ立っていたオッサンが、
『おい、ボウズ。邪魔しとったらいてまうぞ！』
と、優しそうな声からいきなり怒鳴り声に変えて威嚇(いかく)してきた。
『悪いがお前らみたいな弱い子を狙う卑怯者には手加減しねぇ。覚悟しやがれ！』
そう言うと、相手にスキを与えず腕を蹴り上げたオッサンの胸ぐらをつかみあげ、急所を外したパンチを体に数発打ち込んだ。
その途端、オッサンはその場にお腹を押さえながら崩れるように座り込んだ。

二人目も片付けようと振り向こうとした時だった。
『危ないっ！』
Sの警告を受け止める間もなく、もう一人のオッサンに刃物で腕を切られた。
幸い、腕だけで済んだが血がジワジワと傷口から体外へあふれ出した。
オッサンは再び刺しに来たが手を蹴って刃物を吹っ飛ばしてやった。
僕は真っ赤に染まった左腕を相手に見せ、
『ヤられたらヤり返すのが俺のモットーやから責めるなら自分を責めろ。』
と、囁くように言い、相手の両膝を横から振り下ろす感じで蹴った。