!戦いで人は成長する!
相手の膝は耐えきれず、地面に突き刺さった。
両手を地面につき、土下座の格好をしながら顔を上げて、
『俺は酔ってるんや!分かってくれ。』
と、勝目がなくなったからなのか、急に態度を変えて詫びてきた。
少し戸惑ったがSに怖い想いをさせた上にこっちはかなりの重傷をおわされている。
そう考えると、情けなど必要ない。
僕は、
『酔った勢いで他人を傷つけやがって!戒め(いましめ)な。』
オッサンを見下ろしながらそう言うと、ハイスピード・フルパワーで刃物を持っていた手の甲を踏み付けた。
手の骨が折れるのを足で感じた。
二度と感じたくない気持ちに駆り立てられた。
僕はSを連れて帰ろうとしたのだが、いきなり切られた腕が痛みだしたのだ。
腕の痛みが強すぎて歩く振動さえ敏感に伝わってしまう。
Sは持っていたタオルを飲料水で濡らし、傷口に縛ってくれた。
それはそれで気が遠くなるほどの痛みだった。
Sは縛り終えると、優しく冷汗を拭いてくれた。
僕はSに肩を借り、ゆっくり道場に帰った。
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