！戦いで人は成長する！
８人目が畳に上がった。
Mだ。
強さで言えばEの方が強いのだが、かなり冷静で試合の勝利率を何らかの計算で弾き出して行動するといった少し変わった奴なのだ。
攻撃も予測出来ない変則パンチや、スピードを変えて攻撃する変速蹴りなど技は誰よりも多かった。
しかし、試合が始まると僕はガードをせず、サイドステップで攻撃を避け一気に間合いを詰め、ヒザをMのお腹に突き刺した。
だが、Mは顔をしかめただけでまだ立っている。
『相変わらず打たれ強いな。』
小声でそう言うと、再びサイドステップで右に回り込みミットを蹴るかのように力を込めて相手のお腹を蹴った。
綺麗に入ったのに苦痛の表情を浮かべながらも構えた手を下ろそうとはしなかった。

コイツは小さい時から酷いイジメにあっていた。
殴る蹴るは当たり前で、時には棒状の蛍光灯で殴られたり、学校の階段から突き飛ばされた事まである。
Mは小・中・高と合計１２年間もの長く辛い日々を生き抜いてきた。
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表紙・目次

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